一般財団法人 地域公共交通総合研究所  |  The Research Institute for Local Public Transport

渡辺 秀幸


地域交通は、地域社会を骨格として支える欠くことの出来ない「インフラ」、「生活・生命を守る存在」です。従前は、民間事業者が営利事業として担ってきました。しかし、事業の特性として固定費負担が重い一方で、マイカー普及等による利用者減、人口減少時代に直面してマーケット の縮小が進んでいく中、従前どおりの運営では事業継続が困難な面も生じてきています。また、地方の公共交通を担う事業者は、企業努力によって一定の収入増加を図ったとしても、今後の人口減少に伴う運転手不足による人件費増が避けられないこと等を勘案すれば、より一層採算が厳しくなっていくことが予想されます。

地域交通事業の採算の悪化が一層進むと、行政の厳しい財政制約の下、地域交通事業者への公的支援を維持することが限界な状況となり、採算の悪化した路線からの退出・廃止等が進んでいくことも懸念されます。

一方で、高齢化の進展でマイカーに依存できない人が増加していくことを踏まえた場合、今後の地域交通をどのように維持していくのか、持続可能な事業スキームのあり方はどのようにあるべきか等を検討する必要があると思われます。

海外を含めた地域交通事業者の中には、新しい手法を用いたマーケティングや企業連携等を行い、 成果を上げている事例、先進事例があります。 そこで、我が国の地域交通を検討する場合、今後の経営改善及び持続的な経営維持の観点から、 ①収入基盤の拡大、②IT活用(利便性向上)、③運転手不足と安全性の確保、 ④事業者間の連携による経営改善方策、⑤コンパクトシティ・街づくりと地域交通システムの再編、
⑥上下分離方式・車両導入の初期投資負担等将来の公的支援のあり方(地域の合意形成)、 ⑦隔日運行等の最低限のサービス水準確保に対する合意形成等、 早急に検討すべき論点が多々あると思われます。

人口減少時代の社会経済環境の変化を踏まえ、活力のある地域を構築すべく、街づくりの一環として、地域交通の望ましい社会的枠組みの研究や実現へ向けての活動をされている地域公共交通総合研究所に参加させて頂くことは光栄ですし、微力ながらお役に立ちたいと思います。




渡辺 秀幸 プロフィール

氏 名  渡辺 秀幸(わたなべ ひでゆき)

現 職  (株)日本政策投資銀行 岡山事務所長

生年月日 昭和46年9月13日

学 歴
平成6年3月 東北大学経済学部卒業

職 歴

                  
平成6年4月日本開発銀行入庫
同 11年10月日本政策投資銀行 情報通信部
同 12年3月同        服調査役
同 13年3月情報企画部 副調査役
同 15年4月同     調査役
同 16年3月東北支店  調査役
同 20年10月株式会社日本政策投資銀行 東北支店調査役
同 22年6月企業ファイナンスグループ所属参事役
同 24年7月東北支店 課長
同 27年4月 審査部 課長
同 28年4月同   次長
同 30年6月 岡山事務所長