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鎌田 実

一般財団法人地域公共交通総合研究所の設立にあたっての所感

私の専門は機械工学で、車両や交通安全に関する取り組みを行ってきており、ノンステップバス、ユニバーサルデザインタクシー、超小型モビリティなどの開発、交通バリアフリー法のガイドライン策定などに携わってきました。また、土木工学の交通計画学の先生らと、コミュニティバスやディマンド交通に関する社会実験などにも参画してきました。最近では、2009年に大学で設立された高齢社会総合研究機構の機構長を4年間務め、車両・交通だけでなく、広くまちづくりなどにも関わり、ジェロントロジー(老年学)の視点から、日本が世界で一番はじめに経験する超高齢社会に向けて、様々な取り組みを行っていかないといけないと痛感しています。

移動・交通の分野では、公共交通だけでなく、自家用車等も活用して、地域の足をどのように守っていくかが重要と考えております。高齢化、人口減が顕著な地域において、モビリティ・デバイドを如何に防ぎ、家に閉じこもらずに、いきいきとした生活を長く送れるようなコミュニディを創造していくことが望まれます。交通不便地域があるとコミュニティバスを考えがちですが、バスでカバーできる範囲はそんなに広くなく、費用に見合った輸送実績がとれないとサステナブルでなくなります。LRTは魅力的な乗り物ですが、LRTは万能ではなく、適したまちでないとうまいソリューションになりません。行政が、地域の足を守るということを重要視し、住民が当事者意識を持って議論に参加し、交通事業者が経験を活かして対応していくような姿が望まれます。

交通政策基本法の成立で、移動手段についての重要性が法律できちんと規定されたということで、それに沿った取り組みが期待されます。地域公共交通総合研究所がそういった取り組みをアシストし、望ましい地域交通の実現にむけて役割を果たしていくことが求められると思います。私もアドバイザリーボード委員として微力ながら尽力したいと思います。よろしくお願いいたします。

鎌田 実プロフィール

氏 名  鎌田 実(かまた みのる)

現 職  東京大学 大学院新領域創成科学研究科 人間環境学専攻 教授
     (兼:高齢社会総合研究機構、工学部機械工学科)

経歴
1959年 神奈川県生まれ
1982年 東京大学工学部機械工学科卒
1987年 東京大学大学院工学系研究科 舶用機械工学専攻博士課程修了
1987年 財団法人日本海事協会 技術研究所 勤務
1990年 東京大学工学部舶用機械工学科 講師
1991年 東京大学工学部産業機械工学科 助教授
1995年 東京大学工学部総合試験所 助教授
1998年 東京大学大学院工学系研究科 産業機械工学専攻 助教授
2002年 東京大学大学院工学系研究科 産業機械工学専攻 教授
2009年 東京大学高齢社会総合研究機構 機構長 教授
2013年 東京大学大学院新領域創成科学研究科 人間環境学専攻 教授
現在に至る

専門
機械振動音響学、車両工学、福祉工学

委員歴
2008年 自動車技術会 総務担当理事
2010年 国土交通省交通政策審議会 委員
2011年 国土交通省自動車局車両安全対策検討会 座長

受賞歴
1989年 日本造船学会賞
1989年 日本海事協会賞
1993年 日本舶用機関学会奨励賞
1995年 日本舶用機関学会 技術賞
2003年 ヒューマンインタフェース学会論文賞
2012年 ヒューマンインタフェース学会論文賞

所属学協会
日本機械学会, 自動車技術会, 日本マリンエンジニアリング学会,
日本生活支援工学会, ヒューマンインタフェース学会

著書

「2030年超高齢未来破綻を防ぐ10のプラン―ジェロントロジーが描く理想の長寿社会」東京大学高齢社会総合研究機構(著)東洋経済新報社(2012/09)
「2030年 超高齢未来 ―「ジェロントロジー」が、日本を世界の中心にする 」東京大学高齢社会総合研究機構(著)東洋経済新報社(2010/11/26)
他 多数

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