書籍「地域公共交通の統合的政策」のご案内

関西大学の宇都宮浄人先生が、書籍「地域公共交通の統合的政策:日欧比較からみえる新時代」を出版されました。

宇都宮先生とは、近江鉄道線沿線活性化再生協議会で、近江鉄道線の存続に向けて同じ委員として、当研究所とも協力をさせていただいております。コロナ災禍の影響をうけた公共交通事業の在り方を海外の事例を直接調査されており、如何に日本交通システムに応用できるか等に気づきをいただける、公共交通の将来に役立つ良書としてご紹介いたします。

地域公共交通の統合的政策: 日欧比較からみえる新時代
https://www.amazon.co.jp/dp/4492212434/


「地域公共交通の統合的政策:日欧比較からみえる新時代」

日本の地方都市の街中は寂れて人通りも少ないのに、欧州の地方都市は賑やかで、人々は豊かな市民生活を送っている。この違いはどこにあるのか。筆者は、その鍵は地域の公共交通にあるとする。

モータリゼーションや少子高齢化の進展などで、そのあり方が模索されてきた地域公共交通。本著では、その意義や価値を筆者の専門である統計を用いてわかりやすく分析するとともに、2000年以降の規制緩和に始まるわが国の交通政策の変遷を踏まえた上で、課題解決のヒントを欧州、特に現地で調査を行ったオーストリアに求めている。そして日本の地域公共交通の問題点は公益性とビジネスの狭間にあることとして、維持・活用のために単なる公共交通政策に留まるのではなく、都市計画、社会政策も巻き込んだ統合的政策の必要性を訴求し、実現に向け欧州でどのように政策を切り替えていったかに的を絞って詳述する。

新型コロナウィルスの感染拡大により、わが国の地域公共交通の利用者は大幅に減少し、経営危機に瀕している。日本銀行から大学教員に転じる前から行ってきた研究活動の集大成と言える本著は、もちろんコロナ禍を踏まえての上梓ではない。しかし、コロナ禍後の地域の公共交通について何をすべきか、という指針として、本書の価値と必要性はさらに高まったといえる。こんな時代だからこそ、真の生活の豊かさとは何か、そしてそのために地域公共交通が担う役割について、考えてみる必要があろう。

一般財団法人 地域公共交通総合研究所 研究員 服部重敬
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