新アドバイザリー・ボード委員の就任
アドバイザリー・ボード委員 長澤健一氏が就任いたしました。所見・経歴等を更新しておりますので、ご一読ください。
モータリゼーションの進展や人口減少に伴う公共交通需要の伸び悩みなどを背景に、これまでも多くの地域交通事業者が厳しい経営を余儀なくされてきました。さらに、2000年代前半の規制緩和により高収益路線等に過当競争が生まれ、コロナを契機とした移動需要の変容がさらなる打撃を与えたと認識しています。
一方で、近年は地域公共交通が地域に不可欠な「社会インフラ」であるとの認識が浸透し、公的関与の動きが強まっており、上下分離や公設民営方での事業再生事例も見受けられるようになりました。また、人手不足解消にもつながる“自動運転”、観光等で移動の利便性向上が期待できる“MaaS”、新たな交通手段となりうる“空飛ぶクルマ”など、地域交通の新たなソリューションの萌芽を見出すこともできます。
地域交通の問題に画一的な解はなく、地域ごとの実情を踏まえた交通体系の構築が求められると思います。地域交通が社会インフラだとすれば、民間事業というより街づくりのグランドデザインに組み込むべき要素だと言え、人口減少下におけるあるべき街の姿とセットで議論すべきではないでしょうか。たとえば、コンパクトシティを志向するならば、中心部の輸送密度が高まり、地域交通の収益性は高まると思います。つまり、事業者だけではなく、行政、住民、マスコミ、金融機関等がスクラムを組んで、地域の総意を踏まえた“あるべき姿”を模索し、取組を進めることが必要と感じる次第です。
私自身も、これまでの鹿児島、仙台での地方勤務の経験から、地域公共交通の在り方には問題意識を持ってきました。このたび地域公共交通研究所のアドバイザリー・ボード委員に就任させていただくにあたり、地方勤務も含めた銀行員としての経験を踏まえ、微力ながらお役に立てれば幸甚です。