骨太の方針2022で「地域公共交通ネットワークの再構築」が示される!
(一財)地域公共交通総合研究所
代表理事 小嶋光信
岸田内閣は、6月7日いわゆる「骨太の方針2022」(経済財政運営と改革の基本方針2022: 新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~)を閣議決定し、「分散型国づくり・地域公共交通ネットワークの再構築」の項で「デジタル田園都市国家構想の実現に資する持続可能で多彩な地域生活圏の形成のため、交通事業者と地域との官民共創等による持続可能性と利便性の高い地域公共交通ネットワークへの再構築に当たっては、法整備等を通じ、国が中心となって交通事業者と自治体が参画する新たな協議の場を設けるほか、規制見直しや従来とは異なる実効性ある支援等を実施する。
また、モーダルコネクト65の強化や自転車利用環境の充実、通学路等の交通安全の確保に係る対策の推進、バリアフリーの推進等に取り組む。」との政策課題が明言された。
当総研としては、従前からギリギリの状態でどうにか維持している地域公共交通の再構築には①法整備、②財源確保、③利用促進(「乗って残そう公共交通 国民運動」)を提言していただけに、地域公共交通ネットワークの再構築が政策課題として採り上げられ、「法整備」や「実効性ある支援」が明記されたことを心から歓迎したい。
これは、自民党の有志の国会議員が、ポストコロナを見据えた公共交通機関のあり方を検討する新たな議員連盟を立ち上げ、特別顧問に岸田総理大臣、会長に宮沢税制調査会長、会長代行に加藤勝信衆議院議員が就任し、岸田内閣に提言して下さった結果と思われ、地域公共交通の窮状を直視いただいたことに心から感謝したい。
従前から8~9割が赤字体質の地方公共交通の実情を、総研ではコロナ禍での3回のアンケートの実施や「地域モビリティーの再構築」の発刊で早期に世間に公表して、解決方法の提言を続けてきてことが少しでもお役に立ったのではと思っている。
これはアンケートにご協力いただき、実情を伝えていただいた交通各社の思いが通じたことであると御礼申し上げたい。
コロナ禍でほぼ全社赤字という異常事態で、またポストコロナとなっても在宅勤務推進などの社会・生活環境の変化や海外からのインバウンド客の出遅れ等で、今後も10~20%の需要は戻らないのではと懸念され、まさに「危機に瀕した公共交通」の存廃に関わる新たな1ページが始まったと言える。
この政策課題が完遂されるには、「地域公共交通活性化・再生法」や「交通政策基本法」に基づき、国や自治体と市民と交通事業者が一体になり、分散型の国づくりには「地域公共交通のネットワークの再構築が必須条件」である!という熱意が各地で示されることが重要で、地域創生の大前提として「地域公共交通ネットワーク」の健全な存在が必須だと言える。
是非、皆さんも一緒に、地域公共交通の再構築の声を各地域で出していただきたい!