「2023年度:クロスセクター効果算出ガイドライン標準版」出版のご案内

2023年12月8日

「2023年度:クロスセクター効果算出ガイドライン標準版」(紙版)出版のご案内

クロスセクター効果研究会代表 土井勉
一般財団法人地域公共交通総合研究所

はじめに
 2023年10月30日に掲題を電子書籍として発刊したところ、多くの行政にかかわる方から「紙の書籍」として、出版してほしいとの要請を受けた。制度上、組織として電子書籍は購入できないルールがある。クロスセクター研究会と一般財団法人地域公共交通総合研究所は要請に応えるべくアマゾンからペーパーバック(紙版)をできるだけ低廉な価格(税抜1,200円)で普及を目的として、2023年12月から販売を開始した。公共交通にかかわる方々の一助になれば幸いである。

1. 出版の主旨・目的
 2018年3月発行の国土交通省近畿運輸局のリーフレット「地域公共交通 赤字=廃止で良いの?」でクロスセクター効果(以下、CSEと略記)の意義と重要性が公開されて以降、全国各地で地域公共交通の価値を定量化し、政策に反映していく取り組みが増加してきた。
 「地域公共交通計画」の策定や、コロナ禍による路線の減便・廃線問題、さらに行政支援の妥当性を把握するために、地域公共交通の価値をファクトとデータという定量的な視点で語ることができる指標としてのCSEの役割が大きくなっている。滋賀県近江鉄道線の存続問題や、西宮市におけるコミュニティバスの委託費増額(運転士の待遇改善のために委託費の改定)などについてCSEの算出によって政策判断を行うケースも増えてきた。国土交通省総合政策局や鉄道局、物流・自動車局などでもCSEの意義について語られることが増えてきた。
 しかし、これまでのCSE算出については、西村ら1)がまとめた論文と、これをベースにして地域の状況などに応じて様々な工夫がされた算出方法が考案されている状況であり、まだまだ誰もが算出できる状況ではなかった。
 そこで、各地で交通政策に取り組んでいる人たちに議論の場を提供し、CSEの活用と算出方法についての洗練化に取り組むために、2021年4月にCSE研究会を立ち上げて情報交換と算出方法の定式化の検討を継続してきた。こうした議論を積み上げて2023年春に、CSE算出の基本的な方法をまとめることができた。
この成果をとりまとめて、多くの人々にCSEの内容を理解し、実際に算出する方法を提示することを目的としてオンラインによる紙版及び電子書籍の形態で出版したものが本書である。
なお、この内容を活用して2023年10月31日には大阪市内で研修会も実施している。

2. 本書の効用・対象とする読者
 本書が想定する読者は、行政やコンサルタントなどで地域公共交通の実務に関わっている方々を念頭に置いている。ただ、これらの方々だけでなく、交通事業者、学生、研究者、NPOなどで活動されている皆様、あるいはまちづくりの分野や福祉、健康などの分野の方々でも読みやすい内容となっている。是非、多くの皆様に手に取っていただければと考えている。
本書の前半部分はCSEの意味や基本的な考え方を整理したものであり、CSEに関心がある方々が気軽に読んでいただける内容となっている。そこで今回はじめてCSEを勉強しようとする方々の入門書としても活用が可能である。
また後半は、実際にCSEを算定する方法を体系的に示したものである。実務的には、この内容を見ていただけば概ねの理解は可能かと考えている。
さらに、付録として、CSEを算出する際に活用できるアンケートの案などを付けている。こちらもご活用いただきたい。

3. オンライン出版(ペーパーバック:紙書籍)の注文URL
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CPPYWVZX

4. 参考資料
 国土交通省でもCSEは注目されていて、2023年10月31日版の報道・広報資料では「地域公共交通の有する多面的な効果(クロスセクター効果)~算出ガイドライン標準版の公表について~」などで紹介をいただいている。
https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo12_hh_000338.html