森 雅志

地方都市では、過度な自動車依存による公共交通の衰退や市街地の低密度化などの課題に適切に対応し、将来世代に責任の持てる持続可能な社会を構築することが求められています。

私は富山市長として2003年以降、「自動車利用を中心とした従来の拡散型のまちづくり」から大きく方向転換し、「公共交通を軸とした拠点集中まちづくり」を目指し、さまざまな施策に取り組んできました。特に全国の自治体に先駆けて2006年4月に本格的なLRTを導入し、既存の市内軌道を延伸した環状線の開業を経て、従前は2社がそれぞれ経営していた駅北の路面電車と駅南の路面電車を富山駅高架下で接続するという南北接続を2020年3月21日に実現しました。このことは、公共交通を上質なものにすることにより市民のライフスタイルに変化をもたらし、シビックプライドを高めていくという当初からの目標実現のための一つの到達点だったと思っています。

 こういった取り組みの基本をなすものは「交通は公共財だ」という理念です。このたびの就任にあたり、素晴らしい機会を与えていただいたことに感謝するとともに、「交通は公共財」という主張をさらに発信していきたいと思っています。

森 雅志 プロフィール

氏 名  森 雅志(もり まさし)

富山市前市長
富山大学客員教授・非常勤講師(工学部、都市デザイン担当)
DBJ特任顧問(地域企画部)

略歴等
1952年生まれ
1977年 司法書士・行政書士事務所開設
1995年 富山県議会議員初当選
1999年 富山県議会議員再選
2002年 旧富山市長初当選(1期)
2005年 新富山市長に初当選
2021年 富山市長を退任(4期)